諏訪清陵高等学校校歌(第二)
中島 喜久平 作詞
ああ博浪の槌とりて 打破せむ腐鼠の奴ばらが
弥生半ばのこの夢を
一、おしてる難波の群葦の 世は昏々と華に眠り
赳々武夫のおもかげは 氷に鏤りし玉楼の
消えて跡なしあなあはれ
二、空しかるべき男の子やも いで独歩せむ天地に
鷲がかかなく八岳(はちがく)の 山高の骨ゆく青雲の
たかきこころを身に負ひて
三、開かばならむ梓弓 春の古城のはつ花と
躍らばならむ天龍の 風雲紫閃の間より
空を凌がむ勢と
四、怪鳥かけらふわたつみの 中に碁布せる乱島や
雲たち迷ふ国原の 青人草はたによりて
平和の二字を得むとする
五、春秋多き青年が わざにたぐへば筑波山
は山繁山しげからじ 浜の真砂もいかでかは
我等たたずば世をいかん
六、いざや友垣とぎおろす 破邪の利剣にうつる身の
よしやつるとも大君に 南洋東亜の人の子に
尽くさでやまむ心かと
七、朝嵐名煙なぐわしき 湖山の中にゐごもれる
覇気喚よびおこし武に文に 此の世をさます床虫と
ならでやむべきこの身かは
八、ああ麗水に金砂あり 崑岡玉を出すとか
乱麻をたつの英傑は 其の地人士の精粋の
凝りては出づと知るや君
九、再び槌をふりあげて いくその魔をば砕けかし
夫れ質実をたてにして やよ勤倹をよこにして
織りも出でなむ校風を
十、山をも抜かむ意気をもて 海をも呑まむ慨をもて
鉄槌三度かざしては あらが手ぶりに靡けとや
雄叫べ友よ茜さす
朱曦八荒を照らすとき 芙蓉峰頭一点の
理想の花の咲かむまで
備考
第二校歌のメロディーは旧制第一高等学校の第十三回紀念祭寮歌「暁寄する」と同曲である。また、作詞者の中島喜久平は一高生であった。
第十三回紀念祭寮歌「暁寄する」
辻村鑑 作詞
小峰昇 作曲
一、
曉寄する新潮の その浪高く鳴る所
四海の闇は影ひそめ 愉快ならずや億劫の
塵に眩ゆき光あり
二、
空に無限の座を占めて きらめき出づる明星に
劫風夕べ鳴を止め 四大の荒び収りて
千歳春の歌を聞く
三、
嗚呼彼の聲に亡びざる 望はとはにこもらずや
嗚呼彼の歌に萎まざる 榮の花は開かずや
醒めよ迷の夢醒めよ
四、
春向陵の月に散る 花に吉野の名は殘れ
自治の根ざしに青年の 理想の泉涸るる時
五寮の甍光なし
五、
嵐荒みて大空に 一つの星の消ゆる如
吾世の夢を破るべく 勤倹尚武黙もだすとき
五寮の夕べ人もなし
六、
まだ春浅き岡の上 若葉の影に一張の
千すぢの琴ぞ懸りたる 其緒にめぐる若き血の
たぎるや高き自治の歌
七、
見よ紫の雲間より 望の光さし始そめぬ
十三年の曙を 彌生が岡の若櫻
瑞枝に躍る旭影
八、
葉末にそよぐ風の音か 海に逆巻く大濤か
十三年の曙を 千すぢの琴は鳴り出でぬ
力ある哉自治の歌
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